中国裁判所、「ニューバランス」が商標侵害したと賠償命令

2015年4月24日、中国・広州市の中級人民法院は米スポーツシューズメーカー「ニューバランス」の中国関連法人が、商標権を侵害したとして、商標使用の即時停止と損害賠償を命じる判決を言い渡した。
(参照:中国・台湾・香港での商標登録出願、更新

判決を言い渡した中級人民法院は、日本でいう地方裁判所にあたる裁判所だ。賠償命令を受けたのは「ニューバランス」の中国関連法人「新百倫貿易(中国)有限公司」である。

靴の製造・販売企業の経営者である周某倫(ジョウ・モウルン)氏が2008年1月に商標登録した「新百倫」という商標を、ニューバランスが中国国内で使用しており商標侵害にあたるとして提訴していた。

同氏は商標使用の即時停止と9800万元の損害賠償を請求し、その通りの判決が出たものだ。中国通貨の9800万元は、日本円でおよそ18億7000万円に相当する。今後は防衛出願などのいっそうの対策が求められそうだ。

今回の裁判の原告であるが周某倫氏が、問題の商標である「新百倫」を2007年に出願した際に、今回の被告である「新百倫貿易有限公司」側が、商標登録の異議申し立てをしました。しかし、この申し立ては却下され、出願通りに周某倫氏が「新百倫」の商標権を取得しました。

今回の裁判で、「新百倫貿易有限公司」は、「新百倫」は、同社の親会社である米国ニューバランス社の商品名を中国語に翻訳しただけだと主張して、「新百倫貿易有限公司」が「新百倫」の商標を使用することは、周某倫の商標権の侵害には当たらないと主張しました。

一般的な考えでは、世界的に有名なシューズ名である「ニューバランス」の商標を使用する権利は、米国のニューバランス社にあり、また、その商標「ニューバランス」の中国語訳「新百倫」を使用する権利は、米国ニューバランス社の中国関連法人である「新百倫貿易有限公司」にあると考えられます。

しかし、商標の世界では、先願主義といわれる独特のルールがあり、商標の使用頻度や使用期間の長短に関わらず、商標を登録した者が、独占的排他的にそれを使用する権利を有することになります。

この裁判で「新百倫貿易有限公司」側は、問題の商標は自社の親会社の看板商品の名称「ニューバランス」の中国語訳だから、商標権者よりも自分たちにその使用権があると主張したようですが、この考え方は、前述の一般的な考え方に基づくものであり、裁判では全く通用しません。このように、商標に関しては先願主義といわれる独特のルールがありますから、その運用には十分に気を付けなくてはなりません。

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