中国国内での「紀州」ブランド登録申請、異議申し立てが認定
2014年11月5日、和歌山県は「紀州」の商標に関する異議申し立てが中国商標局に認められたと発表した。
(参照:青森県、県産品の海外向けPRシンボルマークが中国で商標登録)
中国企業による「紀州」の商標登録に対して不良な社会的影響があると異議を申し立てていたものだ。
今回、異議申し立てが認められ、今後第三者が中国国内で「紀州」ブランドを使用できないのは梅酒などの果実酒や醸造酒などの酒類33分類と、梅干しや果物の缶詰など29分類となっている。
「紀州」ブランドは日本酒や梅干しなど名産品に使用されており、第三者による勝手な使用は商品の原産地についての誤認を招き、不良な社会的影響を及ぼす恐れがある、という主張が認定されたのだ。
「紀州」ブランドの不正使用は、2008年に紀州みなべ梅干協同組合のメンバーが青梅のシロップ漬けに使用されているのを発見したことから、2008年と2010年の2回にわたり登録申請へ異議申し立てをしていた。和歌山県としては今後も中国および台湾での「紀州」ブランドの不正使用を監視していくという。
今回は和歌山県が素早く対応して非常によかったと思います。この異議申し立てが遅れて、中国企業により「紀州」ブランドが登録されてしまうと、日本の和歌山県の企業等が、「紀州」のブランドを使って、梅干や梅酒などの商品を、中国に輸出できなくなります。
中国には著名商標を根拠とした商標登録取消請求の制度があります。中国商標法第13条では、中国において関係する公衆に熟知され、かつ、比較的高い名声を有する未登録の商標(著名商標)と、同一又は類似する商標は、登録や使用することができないと規定しています。
しかし、この規定により、一度登録された商標を取り消すためには、取消請求者の商標が中国において著名な商標であることを証明しなければなりません。このことを証明することは一部を除いて非常に困難です。
したがって、中国で商標登録された類似商標を、中国商標法第13条の規定を利用して登録の取消しを実現することは非常に難しいと言われています。ですから、中国企業により登録される前に、比較的簡単な手続きである異議申し立てにより、登録されないようにしておくことは非常に賢明なことです。
また、外国でビジネスを行う場合には、「いい商品をより安く」という基本原則のみでは不十分です。相手方の国の制度や文化に配慮した対策をとることも非常に重要です。現在の中国においては、商標の不正使用が特に問題となっていますから、この観点からも、今回の和歌山県の対応は正鵠を得ていたといえましょう。
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