中国企業、欧米日への商標出願が激増
2018年6月14日付の日本経済新聞によると、中国企業による海外での商標登録がふえていることが懸念されている。中国国内で発生している商標トラブルが海外へ広がることが警戒されている。(参照:コーセー「雪肌精」「SEKKISEI」が中国馳名商標として認定)
中国企業による商標出願が増えているのは、アメリカ、ヨーロッパ各国、そして日本だ。アメリカでは出願件数が8倍に増え、出願全数の約8.5%を占めるまでになった。ヨーロッパでは欧州連合知的財産庁への2017年度の商標出願が、2014年の4倍を超えている。そして日本では、特許庁に対する2017年度の商標出願が、2014年の5倍超となっている。
この背景には、中国政府が2017年に定めた商標ブランド戦略の徹底的な実施がある。企業が行なう海外の知的財産機関への商標出願に対して、政府が補助金を支給しバックアップしているのだ。
懸念されているトラブルの一つが、出願件数の激増により他の申請者の出願処理時間が大幅に増えてしまうことである。また、正当な商標権者よりも先に出願することで、拒否が発生したり権利の売却から利益を得ようとするなどの訴訟問題も増えることが心配されている。
商標権は先願主義が採用されています。先願主義によると、例えばあるブランドを何十年にもわたって使い続けた企業があったとしても、その企業がその商標登録をしていない場合には、全くそのブランドとは関係のない企業がそれを商標登録すると、何十年にもわたって当該ブランドを使用してきた企業がそれを使えなくなります。
先願主義がある限りは、長年日本企業が使用してきた商標登録していないブランドを中国企業が日本で商標登録した場合、日本企業が日本国内でそのブランドを使用できないという異常事態が生じます。
このことに対する対策としては、日本企業が自分が使用するブランドの商標登録を確実に行うことが一番重要ですが、万が一、中国企業等が悪意で日本企業が使用するブランドの商標登録を行った場合には、それを確実に取り消すことができる法的手段の整備がなされることも望まれます。
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