和歌山県、中国での「和歌山」商標出願へ異議申し立て
2016年11月14日、和歌山県は「和歌山」の文字を含む商標に関し、中国商標局に異議申し立てを行なったと発表した。
(参照:中国商標、中国企業による「紀州伊始」「紀州」の商標が無効)
和歌山県は、中国の商標法では、すでに周知されている外国地名である「公知の外国地名」に当たり、登録は認められていないとして異議申し立てを行なった。
問題となっている商標は「和歌山」の文字と図形を組み合わせた商標であり、中国山東省の食品加工販売会社である「煙台果滋果味食品」が「缶詰、ドライフルーツ等の加工食品」「ビール、ノンアルコール飲料、シロップ等」などの区分として商標出願している。
同商標は2015年9月30日に出願、中国商標局の予備審査を通過し2016年8月13日に公告された。
和歌山県はこれまでも「和歌山」「紀州」など6件の商標出願に異議申し立てを行ない、認められている。今年に入ってからも「和歌山」だけでなく「WAKAYAMA」について出された商標出願へ異議申し立てをしている。
現在の日本の農業は、中国をはじめとする海外の国に対する高品質な農産物の輸出に活路を見出そうとしています。そのためには、農産物の高品質化が必要なことは言うまでもありませんが、それと同時に、海外の消費者に日本の〇〇産の農産物は高品質でおいしいと認識させることが非常に重要です。
どんなに品質の高い農産物を作っても、ブランド戦略に失敗すれば、海外の消費者に受けいられることはなく、長年の努力も水泡に期します。
このことを考えると、海外の国が日本の産地名の不当な商標登録を行い、日本のその産地の農業者がその産地の名称を使って、その国で農産物を販売することを出来なくするという行為は、非常によくないことです。
そして、そのような行為があった場合には、日本の生産者団体は、速やかに適切な行為(異議申し立てや訴訟等)をとるべきです。
この観点からすると、今回の中国での「和歌山」を含む商標出願に対する日本の和歌山県の異議申し立ては、道理にかなった適切な行為であった、ということになります。
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